プリザーブドフラワーと言うのを最近知ったので、マーケティングの最初として、どの程度の市場があるのかを探ってみました。
結論から云うと、どうも約100億円程度の市場規模がありそうというところまで、行き着いたのが現状です。
ではどのような背景から、市場規模を推定したのかを順を追ってご紹介します。
プリザーブドフラワーの市場規模推計をした方法
日本には、ありとあらゆるモノの統計資料があります。
その中には市場の大きさ(市場規模)が簡単に割り出せる、例えば車産業とか家電、ゲーム機などと、統計数字がなくいろいろな情報を基に推計するモノもあります。
今回の「プリザーブドフラワー」は、後者でした。
これは、「花」という分類で市場規模を見ると約1兆円なんですね。
ところがここから、目的の「プリザーブドフラワー」を探そうとしてもなかなか見つかりません。
まずプリザーブドフラワーって何?
(出展:フラワー工房Aki)
Wikipediaによると
プリザーブドフラワーとは、生花や葉を特殊液の中に沈めて、水分を抜いた素材のことである。
とあります。
「生花を使った造花」とでも言いましょうか?
生花なんだけれども、生花ではないという、そういう存在であることです。
ではなぜ、そんなことをするのかというと
花の購入者で、一番欲しい要素のひとつとして、日持ちする花が上げられています。
この要望に答えられるのが、「プリザーブドフラワー」です。
生花は、数日から持っても数週間くらい手入れも結構面倒です。
でも、プリザーブドフラワーは発祥の地、欧州では10年などと云われていますが高温多湿の日本では1-2年と言われています。
プリザーブドフラワーは、生花なのに日持ちする花というポジショニングです。
花の市場規模を探す
基本的には、まず政府の刊行物、と言っても紙の本ではありません。インターネット上にある統計情報が最初です。
プリザーブドフラワーの場合は、元々が花なので、農林水産省です。
花の市場のことを、農林水産省では、「花き」と呼んでいます。
平成23年1月に、農林水産省から出ている「花木をめぐる情勢」というデータを参考にしてみます。
そこには、すばらしいデータがありました。
それが、こちらの図です。
この図から、市場規模は9738億円(平成17年)なので、約1兆円規模の市場ということが分かりますね。これはかなり大きな市場です。
農林水産省によれば、この市場規模は酪農と同程度、運動用品の市場と同じくらいとの見解です。
次に市場の動向をさらっと見ていきます。
ここでは、株式会社矢野経済研究所が2014年12月5日に発行している。「フラワー&グリーン市場に関する調査結果2014」のサマリーを使います。
市場調査は、ピンポイントで必要なデータがある場合には、調査会社を使うのが一番です。様々なデータから、必要なデータを抜き出してくれてまとめた結果をえられるので、費用対効果は高いと言えます。
グラフから読み取れるように、漸減している市場と言えます。
その背景は、次のように掲載されています。
主に花き小売店が取り扱う高級ギフト需要及び、ホテル向けの婚礼宴会などの装花市場に加え、造園緑化市場も官公庁の予算縮小や民間企業のコストダウンなどの影響により低迷しているためである。
花の需要が全体的に落ち込んできているというのが現状です。
プリザーブドフラワーの市場はどうか
さて、ここまで花全体の市場規模が見えてきました。
はたして、プリザーブドフラワー市場はどうなんでしょう?
このデータがほとんどありません。
いろいろ探した結果、2013年10月に掲載された記事で
プリザーブドフラワー業界は80億円。2006年は50億円で10年後には100億円市場になると言われています
というのを見つけました。
こういう場合は、裏を取る必要があるので、他にないか探してみることにしました。
プリザーブドフラワー業界で大手と言われている大地農園(丹波市)があります。
この大地農園の販売がわかれば多少なりとも、業界の縮図が見えるというもの。。。。
で、神戸新聞NEXTに掲載されていました。
1960年創業。資本金5千万円。売上高24億5千万円。従業員135人。2013年春採用実績5人(うち女子4人)。プリザーブドフラワー、ドライフラワーの製造、販売を手掛け、国内シェアは約50%に達している。
売上高で約25億円、そしてプリザーブドフラワー・ドライフラワーで国内シェアが50%となっています。つまりプリザーブドフラワー・ドライフラワーの市場規模は50億円となりますね。(2013年の記述なので2012年度決算と思われる)
そして、この大地農園はプリザーブドフラワーの生産者のポジションですので、小売までのマージンを入れ込むと、2.5倍ほどに膨れ上がります。
なので、おおよそ75億円くらいが市場の規模となります。
もちろんドライフラワーもあるので、75億円がプリザーブドフラワーとは言い切れませんけど、先のデータで約100億との市場予測に近づいてきていると考えてもよいでしょう。
ここではざっくりプリザーブドフラワーの市場規模は、約100億円と見ることができます。
さて、こんないい加減でいいのかよ~
って声が聞こえますが、市場規模って10億円なのか100億円なのか、はたまた1000億円規模なのかが問題で細かい数字を追いかけてもそれほど意味のないものです。
プリザーブドフラワーの市場動向
ところで、このプリザーブドフラワー市場は、消費者がほしい「日持ちする花」という機能を備えているので、今後注目に値すると考えてよいでしょう。
プリザーブドフラワーは、まだまだその名の市民権を得られているとは言い切れないので、今後市場は伸びる可能性があると言えます。
つまり、市場規模は増える傾向です。
花き市場全体が漸減状況にあってプリザーブドフラワーは増加傾向となりますので、期待しても良い分野じゃないかと思います。
フラワーデザイナーの需要
ここまで市場規模と動向を見てきました。
ここでは、よくある生け花教室・最近出てきているフラワーデザイナーの傾向を見ていきます。
農林水産省の「花きの消費の動向」という資料の中に、「ライフスタイルの変化・社会情勢の変化」(4)習い事、趣味。資格というページがあります。
そこで華道・茶道教室数の推移がこれです。
この表を見ていただければ分かる通り、伝統的な華道・茶道教室は減少の一途をたどっています。
ところが、同じ農林水産省がまとめた次の表をご覧ください。
フラワーアレンジメントなどと呼ばれている、フラワー装飾技能士(国家検定)いわゆるフラワーデザイナーの推移です。
こちらは年々増加していることが分かりますね。
この2つの表から、伝統的な華道教室は減少しているものの、公益社団法人 日本フラワーデザイナー協会が認定している、フラワーデザイナーや、厚生労働省認定の国家検定、フラワー装飾技能士は明らかに増えていますね。
このことから言えるのは、いわゆる「◯◯流 お花の先生」から「フラワーデザイナー」へと変遷していると見受けられます。世の中の流れといえば良いのでしょうか。
プリザーブドフラワーの市場規模のまとめ
さて、お花の市場をいろいろな角度から見てきました。
今までのデータを基にプリザーブドフラワー市場をまとめてみます。
- 花き市場全体は漸減傾向にあるが、プリザーブドフラワーの市場は伸長が期待できる。
- プリザーブドフラワー市場規模は、概算で100億円程度とみられる。
- 華道教室は減少傾向ですが、フラワーデザイナー・フラワー装飾技能士の有資格者は増加傾向にある。
ということで、プリザーブドフラワー市場は、今後増加していくであろうということが見えてきました。
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参考文献:
農林水産省:花きの消費の動向、花きをめぐる情勢(平成23年1月)
矢野経済研究所:フラワー&グリーン市場に関する調査結果2014
神戸新聞 NEXT:2013/11/9:学生がチェック ひょうご中小企業ガイド(8)大地農園(丹波市)大地伹社長 インタビュー
写真提供:
フラワー工房Aki
大変参考になりました。プリザーブドフラワーの需要が拡大していることが見える数字的なものがあれば
大変助かるのですが。宜しくお願いします。
コメント、誠にありがとうございます。
数字的なものを少し調べてみますが、この市場はかなり難しく、上手く数値で表すことができるのか不明です。
上手く見つかりましたら、続編か追加でお知らせいたします。
どうぞ、よろしくお願いします。
こんにちは。
インターネットでプリザーブドフラワーだけを2008年から販売しているものです。
記事が書かれたのは少し前のようですが、もともと生花店での職歴がなく、花きの市場にも疎かったので、市場全体の規模と大地農園の売上予測が今後の事業の見通しに役立ちました。
記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。
この記事は、2年ほど前に市場を調査してまとめたものです。
数字的なところはすでに変化が起こっていると思いますが、トレンドや市場内の校正や流通に関してはほとんど変化がないと思います。
プリザーブドの市場は関心が高いようなので、更に調査をして最新版を記事にします。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。