WordPressですでに出来上がって稼働中のホームページを、Xreaサーバーからさくらサーバーへの移転のお仕事を承りました。
ホームページは動いているので、止めることができません。
実際にホームページを動かしながらサーバーを引っ越すという時に、どのような点に気をつければ良いかを実際に行った手順も含めて、ご紹介していきます。
WordPressでサーバー移転をするということ
通常のHTML+CSSでできているサイトで運用しているサーバーを移転する場合は、そのサイトのすべてのファイルを旧サーバーから新サーバーに移すことで、ほとんどの場合は問題にならず移転が完了します。
さまざまなケースと想定すると、一筋縄では行かない時ももちろんありますが、普通はすんなり移転が完了します。
ところが、WordPress (ワードプレス)などCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の場合は、ちょっと面倒です。
それは、あなたのサイトをWEB上で表示している構造が複雑だからです。
WordPress (ワードプレス)の構造はどうなっているのか?
WordPressがどのような構造になっていて、どの様にサイトに表示されるのかを概念的にとらえた図を書いてみました。
見ていただくと、多少なりともわかっていただけると思うのですけど、さまざまなプログラムが連携しながら動いていて、あなたのサイトをウェブ上に表示させています。
簡単にそれぞれを解説します。
サーバーの中味は?
基本的にサーバーと言ってもハードウエアの構造は、あなたが普段使っているコンピュータと同じです。デスクトップコンピュータをイメージしていただければ、良いかと思います。
サーバーコンピュータは、24時間365日の連続使用にも耐えるハードウエアでないとダメなので、耐久性と信頼性があなたのお使いのコンピュータに比べると飛躍的に優れているものを使用します。
サーバーコンピュータで使うソフトウエアのベースになるのは、あなたが使っているコンピュターと同様にOS、オペレーティングシステムがインストールされています。
インストールされているOSは、WindowsやMacではなく、UNIX系のLinuxやFreeBSDなどオープンソースのサーバー用のOSが多く使われています。
その理由は、堅牢性とコストです。Linuxはオープンソースですので、基本無料のOSです。しかも世界中のエンジニアがボランティアで日夜良い物をと開発に取り組んでいます。
以上が、家庭で使っているコンピュータとサーバーの違いですね!
WordPressはプラットフォーム
WordPress(ワードプレス)は、それ自体で動いているわけではありません。
WordPressは、あなたの書いた文章や画像、写真・映像などのコンテンツを管理するシステム=CMS(コンテンツマネージメントシステム)と呼んでいる、コンピュータのプログラムです。
プラットフォームであるWordPressは、簡単に言ってしまえばアプリケーションですね。
例えば、マイクロソフトのオフィスのような存在ですね。
それ自体にコンテンツはありません。
そうそう、あなたがアップロードした画像はWordPressが管理していますね^^
WordPressのテーマ
WordPressのサイトデザイン・レイアウトを司るのは、WordPress上で動く「テーマ」です。
テーマを入れ替えることにより、あなたのサイトが中味(コンテンツ)は一緒なのに全く別のサイトのように見えるようになります。
言ってしまえば、WordPressは着せ替え人形ですね^^
インターネット上には、たぶん百万を超えるWordPress用のテーマが存在していると思います。
もちろん、無料のものから有料のものまでありとあらゆる種類があります。
もし、少しでも見てみたいというのでしたら、「ワードプレス テーマ」というキーワードでググってください。いくらでも出てきます。
本家のwordpress.orgのthemeのページへ行けば、2000点くらいのテーマをご覧になることも可能です。
WordPressのプラグイン
WordPressとテーマの組み合わせだけでは、実現できない機能をこのプラグインが可能にします。
例えば、お問い合わせフォームやテーブルの設置、また、タグでは面倒な地図の挿入、各種SNSとの連携など、こちらもテーマ同様ありとあらゆる機能のプラグインがネット上にあります。
このプラグインは、ボランティアで制作されているものも多くWordPress本体のバージョンが上がったからといってすぐに対応するものもありますが、対応しないもの、数年前のものなど千差万別なので、気をつけましょう!
本体のWordPressをバージョンアップしたら、動かなくなったプラグインの経験もしています。
なので、企業など公式のサイトでWordPress使うときには、定評がありバージョンアップにすぐに対応してくれるプラグインの選択が必須です。
特に、WordPressの表示速度をアップするキャッシュ系のものは、WordPress本体を触るので気をつける必要がありますね。
データベース・サーバー
データベース・サーバーは、WordPress本体とは別物です。
そして、このデータベース・サーバーは、レンタルサーバープロバイダによって提供されています。
また、サーバーと云っても、ハードウエアではなくソフトウエアです!
データベース・サーバーは、WordPressと非常に密接に連携して動きますので、とても重要な部分です。
このデータベース・サーバーの中には、あなたが書いた文章がそのまま入っています。
投稿、固定ページなどの中味が、コンテンツデータベースとしてサーバーの中に取り込まれています。
データベース・サーバーも基本無料のソフトウエアですが、頻繁にバージョンアップが行われます。
なので、ここでもWordPress本体のみならず、レンタルサーバー会社が提供するデータベースサーバーのバージョン管理も必要になるケースが出てくることを頭の隅に入れておいてください。
のちのちサーバーを引っ越したら、データベースが動かないなんてことになりかねません。
ハイ!実はこれ、経験済みです(^^ゞ
WordPressのコンテンツがウェブ上に表示される仕組み
いままでご紹介したように、ひとくちにWordPressと云っても、様々なソフトウエアがお互いに連携しながら実際には動いています。
そして、あなたのサイトがウェブ上に表示されるには、
- WordPressとテーマでデザイン・レイアウトされたテンプレートに
- プラグインを使った機能が組み合わさり
- データベースから選択されたコンテンツが取り込まれて
最終的にあなたのサイトとしてウェブ上に表示されます。
いかがですか?
多少なりとも、WordPressの中味と周辺がおわかりになったでしょうか。
WordPressをインストールしているサーバーを移転する
WordPressの構造が理解できたところで、今回WordPressのサーバー移転のご依頼は、Xreaサーバーがやたらと重くなった。つまり、表示が遅くなったということです。
なので、快適に動作するサーバーに移転したいというご要望でした。
いろいろと検討した結果、最終的に決めたのがさくらサーバーへの移転となりました。
いでじんの経験から言えることは、あるキーワードでアクセスが爆発するような場合を想定すると、Googleアナリティクスのリアルタイムアクセスで1000アクセスを超えることがあります。
下の図は、アクセスが集中した時のリアルタイムアクセスです。
その場合には、ロリポップやXrea、さくらサーバーでは残念ながら持ちこたえられません!
アクセスが集中してサーバーが処理できなくなり、ページが表示されない状況になります。
これも経験済みです(^^ゞ
こんなのが表示されます!!
最低でもXサーバーあたりが必要です。できればWordPress専用のwpXレンタルサーバーなどが良いですね。
移転の基本は、文章などのデータベースの移転とWordPressのテーマが入っているwp-contentsというフォルダの2つを一旦自分のPCにダウンロードして、新しいレンタルサーバーに新規にWordPressをインストールして、データベースとテーマ及び画像をアップロードしていくというものです。
現状のWordPressが、どのような環境なのかを調べる
まず、移転元の環境がどのようになっているのかを調べました。
- WordPressのバージョン:3.9.2
- テーマとバージョン:Twentyten 1.6
- データベースサーバー(MYSQL)のバージョン:5.1.2
- その他プラグインが17種
概略でこんな感じ。
おっとぉ~WordPressは、いま4.2.2なので、テーマやプラグインが動くかどうかチョット心配。
プラグインも結構な数がインストールされているので、ひとつひとつ検証していかねば・・・・
などと思いながら、WordPressで最も簡単にサーバー移転ができる方法を探りました^^
プラグイン「duplicator」を使えば簡単なのだが・・・
サーバーの引っ越しで一番簡単な方法、それは「Duplicator」というプラグインを使うことです。
Duplicatorという名前のごとく、複雑怪奇なWordPressを丸ごとコピーしてくれます。
そして、出来上がったファイルを自分のコンピューターにダウンロードして、それを新しいサーバーにアップロードして数クリックで完成するというスグレモノです。
自分で管理しているサイトで、この方法を実際に試してみました。
いとも簡単に別な場所に移すことができました。
「へぇ、こんなに簡単なんだ!」
ということで、実際にお客様のWordPressで試してみると・・・・・
なんと! データベース・サーバーのバージョンが古くて対応していません(T_T)
データベース・サーバーのバージョンが5.3以降でないとダメでした。
元の環境は5.1.2なので、この方法はアウト!!
実際に別な環境をつくります
もうこれは王道でいくしかないということで、まず移転予定のさくらサーバーに同じ環境を作る事から始めます。
どのくらいバージョンの違いが出るかというと
- WordPressのバージョン:3.9.2 ⇒ 4.2.2
- テーマ:Twentyten 1.6 ⇒ 1.9
- データベースサーバー(MYSQL):5.1.2 ⇒ 5.5
- その他プラグインが17種 ⇒ 実際に使われていた11種類のバージョンアップ
この中では、WordPressとデータベース・サーバーがヘタすると上手く動かないかもという心配があります。
新規WordPressのインストール
早速、実際に使うドメインではなく仮のドメインを使い、WordPressをまっさらな状態からインストールします。
新規ですのでWordPress・データベース・サーバーとテーマは検証済みですから動きます。
そしてテーマがカスタマイズされていたので、それをコピーして動かしてみると、きちっと動くことが確認できました。
次に、プラグインです
実際には使われていないプラグインもあり、ここでは使っているプラグインのみをバージョンアップします。
ここの段階は、インストールされているプラグインが全てが動くことを確認してから次のステップです。
一番危ないWordPressの表示速度を早くするキャッシュ系のプラグインを止めたので、ここは上手くいきました。
そして、最後がデータベースの移転
Xreaサーバーからデータベースをダウンロードしてきて、そのデータを新しく構築したさくらサーバーのデータベース・サーバーにアップロードします。
以前、データベースのバージョンアップでつまづき、サイトにアクセスしたけれども管理画面も見えないという事態になったこともあり、かなり心配でした。
しかし、今回は何ごともなかったように動いています!!
いやぁ~、これで引っ越しに関する全ての検証が終了です。
いよいよ本番の引っ越し
ここまでの検証で、
- WordPressのバージョン 4.2.2
- テーマ:Twentyten 1.9
- データベースサーバー(MYSQL): 5.5
- その他プラグイン11種類
が動くことが確かめられたので、本番の引っ越しです。
引越しは、アクセスの最も少なくなる深夜2時頃から行います。
世界中のDNSサーバーに移転を知らせる
インターネットの住所(アドレス)が引っ越しにより変わります。
IPアドレスと呼ばれていて、111.222.199.123 のような3桁の番号を4つ組み合わせたものがインターネット上の住所(アドレス)です。
あなたのドメインの住所(アドレス)も、「hoge.com」ではなく本当は、111.222.333.123 なのです。
こんな数字の組み合わせをURLに書いても覚えてもらえません。
そこで、考案されたのがドメイン名です。例えばいでじんの場合は、idegene.com というドメインでアクセスできるようになっています。
この 111.222.199.123 のような数字の羅列を、idegene.com というドメイン名に変換するインターネット上の場所があります。
この場所を、DNSと呼んでいます。ドメインネームサーバー(Domain Name Server)です。
このDNSはインターネット上のあらゆるところに存在しています。ただ、その頂点は13台のDNSで出来ています。
サーバーを引っ越すときには、世界中にあるDNSに新しい住所(アドレス)を教えてあげないとなりません。
あなたが、引っ越しするときに役所や郵便局に新しい住所とあなたの名前を登録するのと同じように、インターネット上でも郵便局に相当するDNSにあなたの新しい住所を覚えてもらわないとあなたのサイトにつながらない状況になるのですね!
そして、あなたの新しいインターネット上のアドレスが世界中のDNSに伝わるまでには、時間がかかります。
最近は、インターネットの伝送路がとても早くなったので、数時間程度で伝わるようになってきましたが、以前は2日くらい掛かっていたこともあります。
さくらサーバーだからできること
今回は「Xreaサーバー」から「さくらサーバー」への引っ越しでした。
ここで、さくらサーバーで上手いことに気が付きました。
それはドメイン名の変更が、巧くできることです。
さくらサーバーでは、登録の時にさくらサーバーのドメイン名を取得することができます。
idegene.sakura.ne.jp
こんなドメイン名です。(サブドメインと呼んでいます)
それで、ここが重要!!
さくらサーバーの登録時のドメインを使って、引っ越しするWordPressのサイト作り上げます。
そうすると、いつもアクセスしているように、さくらの登録時ドメインでインターネットからアクセスできるようになります。
そして、サイトが完全に動いていることを確かめてから、WordPressの登録時のドメイン名から引っ越しをするドメイン名に変更します。
つまり、さくらサーバーのドメイン管理画面から新しいドメインを指定します。
例えば、idegene.sakura.ne.jp ⇒ idegene.com に管理画面上で変更が可能です。
そして、新しく作ったワードプレスの一般設定のなかの「WordPressのアドレス」と「サイトアドレス」を引っ越しするドメイン名に変更することで、ドメインの引っ越しが完了するという技が使えました。
これで、あとはDNSの変更が世界中に知れ渡るのを待つのみです。
実際には、約3時間ほどでDNSが切り替わり、新しいサーバーにアクセスができるようになりました。
お疲れ様でしたぁ~!!
WordPressのサーバー引っ越しのまとめ
1.まずはWordPressの構造を知って、どのように動いているのか、その概念を知りましょう。
2.サーバーの引っ越しは、WordPress本体、データベース・サーバー、テーマ、プラグインなどが常に最新状態になっていると、「Duplicator」というプラグインで簡単に引っ越しが可能です。
3.DNSというIPアドレスをドメイン名に変換するサーバーの存在と、変更するときにはそれなりの時間がかかることを覚えておいてください。
もし、あなたがサーバーのお引越しをお考えであれば、ご相談ください。
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