お盆休みですがウチで動画編集している、いでじん です(^^ゞ
さっき、近くの電気屋で面白いモノを見てきたので、ご紹介しましょう。
SONYのムージックビデオレコーダ(HDR-MV1)という簡単に云うとビデオムービーなんですけどね。
これがどこが面白いかというと、音楽専用を謳っているところです♫
そして、YouTubeやFacebookなどのSNSへのアップも簡単なんです!
ビデオムービーのマーケティング
ビデオムービーと言うのは、その昔日本ビクターがVHSで世界規格のビデオを1976年に発売し、VHSを小型化した「VHSーC」という規格で1984年に発売した、民生用カムコーダ(GR-C1)が最初ではないだろうか?
これは画期的でした!
それまで、業務用の世界では、VHSと戦ったSONYがベータマックスを使って、放送局向けにベータカムを開発し、のちの放送局での取材用カメラのスタンダートとして君臨しました。
しかし民生用では、たぶん本格的なカメラ一体型ビデオムービーはこのGR-C1が初めてではないかな。
ビデオムービの狙いは
1980年代というと、バブリーな時代で商品は作れば売れるという時代でした。
なので、技術優先で商品開発が行われ、商品にしてからどのような使い方が良いだろうなどという議論があったりして、今では考えられないような商品企画もありました。
そんな中、ビデオムービーが発売されたのです。
なので、カタログを見る限りターゲットが家庭というくらいしか絞り込まれていません。
これはカタログの書き出しの部分なのですけど、
旅行・行事・スポーツ・・・あなたの、そして家族のすべてをビデオムービーで心ゆくまで残してください。
こんなコピーが見られます。
最初だったからかもしれませんけど、何に使ったら良いかよくわからなかったかもしれません。
というか、家庭用ビデオムービーができたって言うことのほうがコトが重要だったのです。
その後ビデオムービーはどんどん進化して、SONYが1989年に発売したCCD-TR55、通称「ハンディーカム」でのキャッチコピー「パスポートサイズ」が大ヒットしましたね。
このヒットの理由は、技術的なことはもちろんですけど、一般の人はビデオムービーって云ってもどこでどんな風に使えばよいのか、よくわからなかったところに、「パスポートサイズ」というキャッチと、ハンディーカムという愛称で、ビデオムービーと旅を結びつけることにより、今で言うところのアプリケーション提案をして成功しています。
マーケティングのひとつの成功例ですね。
ビデオムービーは子供の記録用
SONYの大ヒットでビデオムービーが市民権を得たあとは、ほとんどの電機メーカーがこぞってビデオムービーを発売しました。
もう、この時代はプロダクトライフサイクルでいうところの成長期から成熟期になりそうな時期でした。
ここで、もう一つのエポックメイキングなビデオムービーがでました。
1992年にシャープが発売した「液晶ビューカム VL‐HL1」です。
それまでビューファインダーは、小さなディスプレイでとくに眼鏡をかけている人や女性にとっては見ずらいものでした。
現在のビデオムービーでも採用されている液晶ディスプレイは、実はこのシャープの液晶ビューカムの流れなんです。
そこで、次のビデオムービーの位置づけは、女性でも簡単に写せるので「子供の成長記録」を残すというアプリケーションになってきました。
そして技術革新の流れに沿って、記録媒体もテープからハードディスク、そしてメモリーへと進化してきます。
近年では、デジカメにも動画記録ができるのが一般的となり、プロダクトライフサイクルで見ると、ビデオムービーは成熟期からだんだんと衰退期に入ってきています。
ビデオムービーの専用化
ビデオムービーは、さまざまなシチュエーションで活用されるようになってきましたけど、現在は4Kのムービー開発以外はメーカーもあまり積極的ではありませんね。
すでに価格競争の時代になって久しく、儲からない事業になっているからかと見えます。
ここで、メーカーはいろんなことを考えて、ビデオムービーの技術を使ってさまざまなアプリケーションを提案してきました。
アクションカメラ
http://a.abcnews.com/images/US/ht_gopro_fetch_harness_3_jc_140826_4x3_992.jpg
2005年にスポーツカメラとして出てきたのが、「GO Pro」これが2007年にはデジタル化、メモリー媒体となって、いまや動画撮影の1ジャンルを確立しています。
水中でも、動きの激しいスポーツでもこの「GO Pro」で撮影すると、今まででは得られなかったアングルでの映像を記録することができるようになりましたね。
そして、このカメラを使った映像がYouTubeやFacebookなどのSNSでも盛んにアップされています。
カメラで撮影、そのままYoutTubeやSNSのアップという流れが、とても簡単にできるようになったのは、技術革新もありますけど、ほんとにスゴイ世界になったなぁ~と思います!
Go Proのカメラがとらえた映像の世界は、YouTubeのHERO4 Sessionのチャンネルにあります。ぜひ、見てみてください。
そして、国内でもGo Proの成功を横目で見ながら開発したカメラたちが、たくさんできていますね。
Panasonic HX-A500-D(これは4Kカメラ):
この2つなどは、もろにアクションカメラとしてGo Pro狙いかな?
価格帯も2-4万円と、それほど高価の部類には入りません。
今後も、この分野「Go Pro」を中心に回っていくのではないかとの予測です。
英国の調査会社フューチャーソース・コンサルティングの推計によると、2013年のアクションカメラの出荷台数推計は、世界で260万台なるも、毎年20%以上の伸びが期待できる分野と予測しています。
2016年には、2013年の2倍の出荷台数になると予測している分野なんですね!!
音は映像以上に大切
アクションカメラの次がこれかな??
Canonが昨年発売したのが、iVIS mini X という小型カメラ
CanonのiVIS mini X カメラは、映像はフルHDですけど、音にこだわっていたり、映像のライブ配信が出来たりと、アクションカメラのアプリケーションと異なっています。
これ、録音に凝っています。
いままでのビデオカメラは、どちらかというとビデオ側に寄った性能・機能を重点に商品開発がなされていました。
ところが、このCanonのビデオカメラは、ビデオよりもむしろオーディオ側に寄った商品企画がなされています。
ここ2-3年、年間70~100本の動画撮影と編集をしている、いでじん ですが、常に思っているのは「音は映像よりも大切」っということ。
映像(動画)が少しくらいブレていたり、どこ写しているのかわからないような映像でも、おとがはっきりしていると、見るに絶えます。
しかし、音のない映像は、見るに絶えません。
動画編集は、基本的に音声編集が優先です。
音声の編集をしてから、映像の編集を行うことがほとんどです。
特に、音楽関係の動画映像を撮影するときには気を使いますね。
つい最近もバンドの演奏の動画を撮影しましたけど、本当に音が大切だという実感しています。
音楽を撮影するときのオーディオ機器
音楽(MUSIC)を撮影するときには、音収録は最優先です!
では、音楽収録ではどんな機材が必要なのか、実際にご紹介しますね。
もしライブなどで、PA(拡声)システムを使っているであれば、ミキサーが使われています。そのミキサーのラインアウトがもらえると最高です。
ミキサーのラインアウトをもらう理由のひとつは、ライブ会場の響きです。
よく家庭用のビデオカメラで収録した音楽会などを見ると会場の響きが多くてなんとなく楽器や声が聞き取りにくくなっていることがありますね。
このようになるのは、会場の反射音が主たる原因です。
反射音を取り去るには、反射音のない音つまり原音をそのまま収録できれば良いわけです。
それには、ボーカルであれば、会場に流れるボーカルの声をそのまま収録できれば解決します。
その実現手段が、ミキサーのラインアウトからの収録です。
こうすれば会場の反射音や残響から開放されクリアーな音を収録できます。
ただこの場合は、すべての楽器や観客のざわめきなどは一切収録できません。
なので、別に収録用のマイクを立てて、ミキサーのラインアウトとミックスすることで、会場の雰囲気までも出せるようになります。
そこまで、本格的なシステムは組めないような場合には、カメラのマイクを工夫することで解決が可能になります。
音楽収録に実際に使用した機材たち
いでじん が実際にライブミュージックを収録したカメラシステムはこれです。
カメラの上に乗っているマイクがキモです。
RODE ビデオカメラ用ステレオコンデンサーマイク STEREO VIDEOMICというマイクです。
このマイクは音の広がり感のみならず、奥行き感もしっかりと収録ができるX-Yステレオ方式が採用されているので臨場感のある録音が期待できます。
通常のセミナーやインタビューなどは、いわゆるガンマイクというのを使っています。
これらのマイクは、オーストラリアのRODEというメーカーのステレオマイクです。フラットながらダイナミックな音作りが気に入っています。
そしてもうひとつ、オーディオ収録専用機を使います。
それが、ZOOMという日本メーカーのデジタルオーディオレコーダです。
このレコーダの音は、ものすごくクリアーでひずみ感が皆無で原音にとても近い音です。
今回は、どちらかというとバックアップ用に使用しましたが、インタビューなどは、通常こちらの録音を主音源としています。
音楽収録に特化したミュージックビデオレコーダー
いでじん の収録システムって、かなり大がかりでしょう。
そいつを、1台のビデオカメラに凝縮して、さらに簡単操作で今流行りのYouTubeやFacebookといったSNSにアップロードできるのが、SONYが2013年に発売した「ミュージックビデオレコーダー HDR-MV1」です。
価格もAmazonでも、25,999円というお手頃値段なので、バンドなどをやっている方には最適ですね。
この商品、特に力を入れているのが音の収録です。
通常は、録音時にMP3など圧縮しファイルにして保存されます。
ところが、このSONYの「ミュージックビデオレコーダー HDR-MV1」は非圧縮リニアPCM形式で録音されるのでリアルな音で録音できます。
なぜ通常は圧縮されたファイルになるかというと、ファイルの容量の問題です。
数年前までは、大容量のSDメモリーがなかったり、あっても大変高価でした。
ところが最近では、大容量のSDメモリーが安価で手に入るようになってきているので、非圧縮リニアPCMでも64GBのメモリーを使うとビデオ・オーディオで7時間以上の収録が可能になっています。技術革新ってすごいですよね!
2013年の発売以来ヒット商品となっていて、今日現在(2015年8月16日)でも、アマゾンのビデオカメラの 売れ筋ランキング5位です。
これは、マーケティングの成功ですね。
マーケティングの原点、「だれに」「なにを」「どうやって」に当てはめてみると
ミュージシャンやバンドをやっている人たちに、音声収録に力を入れた音楽専用ビデオカメラをSONYの販売網で売る。
このようになりますね。
やはり、「だれに」というところから商品コンセプトを作っているので、商品にした時の軸がぶれていません。
単にビデオムービーなら、コンセプトがこれほど明確でないので、機能・性能・価格というところでしか戦えないのです。
この点、ミュージックビデオレコーダーはビデオレコーダーを売るのではなく、収録した自分たちの音楽を、どのように活用するのかというアプリケーションまでも提案しているので、発売以来2年経っても、いまだに売れ筋商品として継続している最たる理由と云えますね。
まとめ
ビデオムービーの市場は、成熟期を過ぎて衰退期に入りつつあります。そこで、ヒット商品を作りには、ある用途に特化した商品が必要です。
その一つとして、アクションカメラが登場しました。
そして、今回ご紹介したミュージックビデオレコーダー(音楽動画専用レコーダ)が出てきています。
アクションカメラや、ミュージックビデオレコーダーなどある用途に特化したビデオムービーは、今後市場の拡大が予測されています。
マーケティング的に言うと、「だれに」が明確化されているので、欲しい人にとっては「これ待っていたんです!」という具合に競合と比べることなく、また価格もこなれていれば、名指しで買ってもらえます。
これが、経営の神様ピーター・ドラッカーの言葉、「究極のマーケティングは、セリング(販売)を不要にするもの」ということの表れでもあります。
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ご相談や、ご質問がありましたらマーティングスペシャリスト いでじん まで、ご連絡ください。
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初めまして、二瓶宗裕と申します。どうぞ宜しくお願い致します。
来年1月19日に成城ホールと言う300人程入るホールで第1回成城さくら音楽祭を開催します。その時にYouTubeでLIVE放送が出来ないか、調べています。その際に使用するカメラをソニーのミュージックビデオレコーダーで出来ないか?と調べていた所、井出さんのこのサイトに出会いました。
このミュージックビデオレコーダーは、LIVE放送のカメラとして使えるのでしょうか?ご指導をお願い致します。
二瓶宗裕様
明けましておめでとうございます。
返信が大変遅れてしまい、失礼いたしました。
ボクは実際に、こちらの機材を使ってのライブ配信の経験はありません。
そこで、少し調べてみました。
ご質問のソニーのミュージックビデオレコーダーは映像出力にHDMI端子があります。
婚おHDMI端子は、カメラスルー(カメラで撮っている映像をそのまま外部出力できる)が可能なので、これを使ってLIVE配信ができそうです。
こちらの記事(http://goo.gl/VwC3bZ)によると、PCなしでLive配信のできる「Live Shell Pro」(http://static-shell.cerevo.com/pro/ja/feature.html)を使ってUstreamができると言っております。
システム構成は
カメラ(HDR-MV1)HDMI端子ーー>Live配信装置「Live Shell Pro」ーー>ネットワーク(インターネット)
というとても簡単なシステムでできますね。
「Live Shell Pro」は、APEXレンタル(http://www.apex106.com/other/shuhen/live_shell_pro.php)あたりでは2泊3日でも6,000円ていどなので、事前にシステムを組んでリハーサルを行なってから本番に望むことを強く推奨します。
ご不明な点などありましたら、ご遠慮なくお知らせください。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
いでじん